今日の記事も昔に書いた記事の供養。
たしか後輩に説明するときに作った文章。
これもミスがあればコメントくださいな。
ぺぺん。

1.スナバコンデンサとは

スナバコンデンサの設計について述べる。
まず簡単に説明する。バス電圧(入力電圧)を IGBT の耐電圧以下にしていても、IGBT がターンオン、ターンオフした際に、配線などのインダクタなどに残ったエネルギーによって IGBT の C-E 耐電圧を超える時がある。この事は、サージ電圧、オーバーシュート、リンギングなどと呼ばれる。
(用語は結構適当なものなので、この 3 つの呼び方に関して区別があるのかもしれないけど僕はあまり知らない。しいて言えばこういう IGBT のスイッチングとかの過電圧の時にはサージを使うことが多いと思う)
下にリンギングが大きい時の波形を示した。ターンオンの際に髭のように電圧が上がっている部分があるのが分かる。この電圧を消すためにスナバコンデンサをつける。
_20171025_202416

そのスナバコンデンサは
_20171025_201951

で計算できる。
ここで Cs はスナバコンデンサの容量、許容サージ電圧を Vt、電源電圧を Vb、平滑コンデンサからの配線のインダクタンスを Ls、I はターンオフ時の電流とした。ちなみに Vt の t は transient の t で、Vb の b は Bus Voltage の B で、Cs の sは Snubber の S 。

IGBT はスイッチング速度が速く、IGBT のターンオフ時などにはΔi(電流の増加)/Δt(時間)が高い。つまり時間あたりの電流の増加が非常に高くなる。このΔi/Δt のΔt を微小にした時には di/dt と表記される。di/dt が高くなれば、IGBTの配線のインダクタンスの両端にはよって L・di/dt の電圧が発生する。この L・di/dt によって過電圧が発生する。

2.テスラコイルの設計に対しての応用。
上に書いたように、実際テスラコイルではソフトスイッチング動作させるため、ターンオン時の電流やターンオフ時の電流はほぼゼロで、インダクタンスによるサージは小さく、理想的なソフトスイッチングができているのなら、理想的な電圧源を用意できているならスナバコンデンサはなくてもいい。
多くの人はテスラコイルのフルブリッジにつけるコンデンサを、通常のスナバコンデンサと同様にサージを抑える役割を積極的にしている思っているようで、IGBT が壊れたらスナバが悪いという理由で CRD スナバをつけたりしているのをよく見る。これは恐らく良い結果になることはないだろう。CRDスナバに変えて故障しなくなったDRSSTCがあるなら教えて欲しい。かなり少数例だろう。断言するのは少し怖いが、「DRSSTC」に C スナバ以外の構成のスナバコンデンサが必要になることはまずないだろう。DRSSTCが C-E 間のサージで壊れるようなことがあるなら、ゲート周りの設計が不完全、または回路の位相の遅れによって、綺麗にソフトスイッチングにできていないのが原因だ。位相補正をつけ、ゲート設計をきちんとすればサージで故障することはまずなくなる。
実際にはDRSSTCのフルブリッジには並列にコンデンサをつけている事が多いが、これはどちらかといえば平滑コンデンサとしての役割が大きい。電解コンデンサでは対応しきれない短パルス間での電圧降下を防いでいる。この電圧降下によって、波形がひどく乱れることがあるので、このコンデンサはほぼ必須である。
これらを平滑コンデンサの設計方法と共に説明する。

3.平滑コンデンサ

平滑コンデンサは電源回路などにおけるエネルギーを貯蓄する主な部分である。これは高負荷の電源などには必要不可欠で、この平滑コンデンサがなければ電圧降下などが起こり、回路全体の動作を不安定にする。
今回は一般的な平滑コンデンサに関する解説は除いて DRSSTC に注目して説明する。

4.テスラコイルにおける平滑コンデンサ

特に DRSSTC はインタラプタ動作をさせることで、短いパルスの間に商用電源では到底供給不可能な大電流を利用している。たとえば真紅では平均消費電流は 20A だけど、ブリッジでの電流ピークは 400A~1000A にまでなる。このような動作を可能にするため、DRSSTC のブリッジには並列に数百~数千μF のコンデンサをつける。このコンデンサの容量の設
計はそのテスラコイルがインタラプタのワンパルスで消費するエネルギー平滑コンデンサに貯めれるているエネルギーから引いて、インタラプタのワンパルスの終了後のコンデンサの電圧を計算してその電圧が無視できる程度に小さくなるようにしておけば完璧だ。Q=CV、J=CV^2/2 Q=It (Q:電荷 J:エネルギー t:時間)とか使って計算してくれたらいいんだけど、一応式を書いておくとまず、インタラプタ一回で消費するエネルギーをおおよそで計算すると
_20171025_202007

で計算できる。Vb が電圧、Ip が電流のピーク電流、ONint はインタラプタの ON 時間です。
コンデンサに蓄えられるエネルギーは
_20171025_202028

ここで C は容量で Vb はバス電圧。
この二つを使って電圧降下は
_20171025_202044

となるから、この電圧降下が無視できるくらいに小さければいい。
次にスナバコンデンサについて説明する。平滑コンデンサの容量を上の計算式で出して電圧降下を小さくしても下図みたいにインタラプタより小さいワンパルス、つまり IGBT のスイッチング期間で電圧降下が起こったりする。
これは配線のインダクタンスとかの原因で、平滑コンデンサと IGBT の間の配線で起こる電圧降下が原因だ。これを防ぐために、IGBT から近いところに 5μF 程度のフィルムコンデンサをつけとくと良い。大電流を流せる奴が必要。
計算はさっきの式と同じようにしてくれればいいけど、たぶんさっきの式の通りやると少し大きめの値が出るかもしれない。まあこのコンデンサの容量は適当に決めてトライアルアンドエラーでキチンと波形を見ながら調整してくれればいいよ。(投げやりで申し訳ない。)